本文へ移動

まず状況を確認する

離婚後に養育費の取り決めがないときの進め方|2026年4月以降

離婚後に養育費の取り決めがないときの進め方|2026年4月以降の要点をやさしく表したイラスト

先に知る結論:取り決めがなくても養育費は請求できる

離婚のとき、養育費について何も決めていなかったという方は少なくありません。でも、安心してください。離婚時に取り決めをしていなくても、後から相手に養育費を請求することは可能です。

養育費とは、子どもが自立するまでに必要となる衣食住の費用、教育費、医療費などのことです。親は、自分と同じくらいの生活水準を子どもにも保障する義務を負っています。この義務は、親権者であるか、子どもと一緒に暮らしているかどうかにかかわらず、親である以上負うものです。

そのため、離婚時に「養育費は請求しない」という口約束をしていたとしても、事情が変われば改めて請求することが認められる場合があります。まずは当事者間での話し合い(協議)から始めます。合意に至らない場合は、家庭裁判所での調停を利用するという流れが一般的です。

養育費の取り決めがない場合の3つのステップ

養育費の取り決めがない状態から実際に支払いを受けるまでには、いくつかの段階を踏みます。ここでは、基本的な3つのステップについて順番に見てみましょう。

ステップ1:相手方との話し合い(協議)

まず、相手方と直接話し合いを行い、養育費の支払いについて合意を目指します。これを「協議」と呼びます。話し合いの方法に特別な決まりはありません。対面での話し合いはもちろん、電話、メール、手紙など、お互いが連絡を取りやすい方法で構いません。

話し合いでは、毎月いくら支払うのか、いつまでに支払うのか、振込先はどこか、子どもが何歳になるまで支払うのかといった具体的な条件を詰めていきます。

合意できた場合は、その内容を書面に残すことが大切です。口約束だけでは、後になって「そんな約束はしていない」「金額が違う」といったトラブルになる可能性があるからです。

可能であれば、公証役場で「強制執行認諾文言付きの公正証書」を作成することをおすすめします。公正証書とは、公証人という法律の専門家が作成する公的な文書です。「強制執行認諾文言」を含めることで、万が一相手方が養育費の支払いを怠った場合に、裁判手続きを経ることなく、相手方の給与や預貯金などの財産を差し押さえる(強制執行)ことが可能になります。

ステップ2:内容証明郵便の送付

次に、相手方が話し合いに応じない、連絡を無視する、あるいは連絡先が分からないといった場合を考えます。この場合は、内容証明郵便を利用して養育費を請求する旨を伝える方法があります。

内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰宛てに、どのような内容の文書を差し出したか」を日本郵便が公的に証明してくれる制度です。これ自体に相手の財産を差し押さえるような法的な強制力はありません。しかし、公的な記録として残るため、後々裁判所での手続きになった際に「この時点から養育費を請求していた」という記録になります。なお、内容証明郵便による時効の完成猶予や更新などの法的な効果については、事情によって結論が変わるため、迷ったときは弁護士へご確認ください。

ステップ3:家庭裁判所での調停・審判

当事者間での話し合いがまとまらない場合や、相手方が話し合い自体を拒否している場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。

調停とは、裁判所で行われる話し合いの手続きです。裁判官と2名の調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら、合意に向けた調整を行ってくれます。

調停が成立すると「調停調書」という公的な文書が作成されます。この調停調書には、公正証書と同様に法的な効力があり、支払いが滞った場合には強制執行が可能になります。

もし、調停を重ねても双方の意見が対立し、合意に至る見込みがない場合は、調停は不成立となります。その場合、自動的に「審判」という手続きに移行します。審判では、裁判官が双方の提出した資料や事情を総合的に考慮し、養育費の金額や支払い方法について命令を下します。

2026年4月施行:法定養育費制度との関係

ここで確認しておきたいのが、2026年4月1日に施行された改正民法により導入された「法定養育費」という新しい制度です。

法定養育費とはどのような制度か

法定養育費とは、2026年4月1日以降に離婚または認知があり、養育費の取り決めがない場合、主として子どもを監護する親(一緒に暮らして育てている親)が、もう一方の親に対して、取り決めができるまでの暫定的な養育費を請求できる制度です。金額は子ども1人につき月額2万円と定められています。

これまで、養育費は「当事者間で取り決めをして初めて具体的な支払い義務が発生する」という考え方が一般的でした。そのため、取り決めがないまま相手方が支払いを拒否した場合、調停や審判を経て取り決めができるまでの間の養育費を受け取ることが難しいという問題がありました。

この制度により、取り決めがなくても、法律の規定に基づいて暫定的な養育費の請求が可能になりました。ただし、これは最終的な適正額を決める制度ではありません。

協議や調停との関係はどうなるのか

法定養育費の制度ができたからといって、当事者間での協議や家庭裁判所での調停が不要になるわけではありません。

子どもの教育費や医療費、生活環境など、実際の状況に合わせた適切な金額の養育費を受け取るためには、やはり当事者間での協議や、家庭裁判所での調停を通じて、個別の事情を反映した取り決めを行うことが望ましい解決方法です。

養育費は過去に遡って請求できるのか

養育費の取り決めがない場合によくある疑問として、「離婚してから数年経っているが、過去の分もまとめて請求できるのか」というものがあります。

実務上、養育費の支払いが認められるのは、原則として「養育費を請求した時点」からとなります。具体的には、内容証明郵便で請求の意思を明確に伝えた時点や、家庭裁判所に調停を申し立てた時点から起算されるのが一般的です。

そのため、離婚してから数年後に初めて養育費を請求した場合、過去の養育費を遡って支払ってもらうことは困難な場合があります。

だからこそ、養育費の取り決めがない場合は、早めに請求のアクションを起こすことが大切です。

養育費の取り決めに関する比較表

以下の表は、養育費の取り決め方法ごとの特徴をまとめたものです。ご自身の状況に合わせて、どの方法を選択すべきかの参考にしてください。

取り決め方法 手間・時間 費用 強制執行の可否 特徴
口約束 少ない 無料 不可 すぐに合意できるが、証拠が残らないため、後からトラブルになりやすい
当事者間の書面(合意書など) 少ない 無料 不可 証拠として残るが、支払いが滞った場合に、すぐには財産の差し押さえができない
公正証書(強制執行認諾文言付き) 中程度 公証人手数料が必要 可能 裁判手続きを経ずに財産の差し押さえが可能。公証役場に行く手間と費用がかかる
調停・審判 多い(数ヶ月〜) 収入印紙代等が必要 可能 裁判所が間に入るため、公平な解決が期待できる。調停調書で強制執行が可能。解決までに時間がかかる
法定養育費制度(2026年4月〜) 状況による 状況による 可能 2026年4月1日以降の離婚等で取り決めがなくても暫定的な請求が可能。最終的な適正額を決めるものではない

確認手順と次の一歩:まずは状況の確認から始めましょう

養育費の取り決めがない状態から請求を進めるためには、焦らずに、まずは現在の状況を把握することが大切です。

  • 相手方の現在の連絡先や住所、勤務先は把握しているか
  • 相手方と直接話し合いができそうな関係性か、それとも第三者を交える必要があるか
  • 子どものために、毎月いくらの養育費が必要か
  • ご自身の収入と相手方の収入はどのくらいか

これらを一つひとつ確認していくことで、次に取るべき行動が見えてきます。

しかし、ご自身だけで進めるのが不安な場合や、相手方が話し合いに応じない場合、あるいは相手方と直接連絡を取ることに負担を感じる場合は、専門家である弁護士に相談することも一つの選択肢です。

弁護士は、あなたの状況に合わせた進め方をアドバイスし、必要に応じて代理人として相手方と交渉したり、調停の手続きをサポートしたりすることができます。

相手と直接連絡せず進めたい方へ

弁護士に相談することで、相手と直接連絡を取らずに手続きを進められるか、またどのような方法が最適かを確認できます。

当事務所では、養育費の未払いに関するご相談のみをLINEで受け付けております。

  • LINEでの相談は何度でも無料
  • メッセージは24時間受付
  • 内容確認後に返信いたします(即時回答をお約束するものではありません)

LINEでの無料相談はこちら

未払い養育費のみ
何度でも無料・24時間受付
LINEで弁護士に無料相談