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状況別に考える

面会交流がないことを理由に養育費を払わないと言われたら

面会交流がないことを理由に養育費を払わないと言われたらの要点をやさしく表したイラスト

「子どもに会わせてくれないなら、養育費は払わない」
元配偶者からそう言われて、どうすればいいか迷いますよね。相手の言い分を聞くと、「会わせていない自分が悪いのだろうか」と不安になるかもしれません。

まず、安心してください。面会交流(子どもと離れて暮らす親が子どもと会うこと)と養育費は、法的にはまったく別の問題です。相手が子どもに会えていないからといって、養育費を払わなくていい理由にはなりません。

こちらでは、相手から支払いを拒否されたときにどう考え、どう動けばいいのかを、順番に確認していきます。

面会交流と養育費は法的に別の問題

まず、面会交流と養育費が法的に違うものであることを確認しましょう。

親は、親権があるかどうかや、結婚しているかどうかにかかわらず、子どもを育てる責任があります。養育費は、子どもの生活費や教育費など、成長に必要な費用を分担する義務です。

一方で、面会交流は、離れて暮らす親と子どもが会ったり連絡を取ったりすることです。これは、子どもが健やかに育つために両親との関係を続けるという、子どものための権利です。

つまり、元配偶者が「面会交流がないから養育費を払わない」と主張しても、法的な根拠はありません。面会交流ができていなくても、養育費を支払う義務はそのまま残ります。

面会交流がない場合の養育費請求手続

相手が支払いを拒否していても、養育費を請求する手続は進められます。ここでは、主な手続を順番に説明します。

養育費請求調停・審判

話し合いができない場合やまとまらない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停(裁判所で話し合う手続)を申し立てることができます。これは、離婚後だけでなく、結婚しないまま出産した場合や、父親が認知した場合にも使えます。

調停では、調停委員という担当者を挟んで話し合いを進めます。もし調停で合意できなければ、審判(裁判官が決める手続)に進みます。このとき、裁判所は「養育費算定表」という基準を参考に、お互いの収入や子どもの年齢・人数に合わせて金額を検討します。

法定養育費制度の活用(2026年4月1日以降の離婚・認知)

2026年4月1日以降に離婚または認知をして、まだ養育費の取り決めがない場合は、法定養育費の制度を使える可能性があります。

これは、取り決めができるまでの暫定的な養育費として、子どもを育てている親が、子ども1人につき月額2万円を請求できる制度です。取り決めがない状態でも、子どもの生活を早く安定させるために作られました。

もし法定養育費が支払われない場合も、養育費調停や審判で解決を求めることができます。ただし、これは最終的な適正額を決める制度ではないため、事情によって結論が変わることもあります。迷ったときは確認してください。

履行勧告・履行命令

すでに調停や審判などで養育費の取り決めがあるのに支払われない場合は、家庭裁判所に履行勧告(約束を守るよう注意してもらう手続)を申し出ることができます。

裁判所から相手に支払いを促してくれます。それでも従わない場合は、さらに強い履行命令が出されることもあります。これらは、相手に自主的な支払いを促すための手続です。

強制執行(差押え)

調停調書や公正証書など、債務名義(裁判所や公証役場で作られた、差押えを進めるための正式な書類)があるのに支払われない場合は、相手の給料や預貯金を差し押さえる強制執行の手続を取ることができます。

給与の差押えは、原則として手取り額の2分の1まで可能です。ただし、手取額が月66万円を超える場合は、33万円を除いた額が上限になります。

また、相手の財産が分からない場合でも、ワンストップ執行手続(第三者から情報を集めて差押えにつなげる手続)を利用できる場合があります。原則として、相手について3年以内に財産開示期日(財産を報告させる手続)が行われていることが条件です。ただし、勤務先や財産が必ず見つかる制度ではないため、注意が必要です。

連絡の記録の重要性

相手とのやり取りは、しっかり記録に残しておくことが大切です。特に「面会交流がないから払わない」と言われた場合、その事実を示す証拠になります。記録は、将来的に調停や差押えなどの手続を進めるときに、あなたの主張を裏付ける大切な資料になります。

記録すべき内容

次に、どのような記録を残せばいいかを確認しましょう。

  • 日時: いつやり取りがあったか。年月日と時刻まで具体的に残します。
  • 相手: 誰とのやり取りか。元配偶者本人か、代理人かなどをはっきりさせます。
  • 内容: どんな発言やメッセージがあったか。「面会交流がないから払わない」という発言は重要です。金額や期日の約束、支払われなかったときのやり取りも記録します。
  • 方法: 電話、メール、LINE、手紙など、どの方法で連絡したかを残します。

記録の方法と注意点

ここで、具体的な記録の残し方を確認します。

  • LINEやメール: メッセージのスクリーンショットを撮るか、テキストを保存します。スクリーンショットは、送信日時や相手の名前がわかるように撮りましょう。
  • 電話: 通話内容を録音します。録音の開始・終了時刻、相手、内容のメモを残しておくことも有効です。
  • 書面: 内容証明郵便(送った内容と記録が残る郵便)などを使います。普通郵便でもコピーを保管します。手渡しなら、受領書を作って相手のサインをもらいます。

連絡が途絶えがちな場合でも、定期的に支払い状況を確認するメッセージを送るなどして、記録を残すようにしましょう。

子どもの負担を減らすための準備

親同士の対立が激しくなると、子どもにも精神的な負担がかかってしまいます。面会交流と養育費の問題を解決するときは、「子どもの最善の利益」を考えることが大切です。

親の感情と子どもの利益を分ける

相手への不満や怒りがあるのは当然のことです。しかし、その感情と、子どもが養育費を受け取る権利、両親と交流する権利は分けて考える必要があります。親の感情的な問題に子どもを巻き込まず、冷静に手続を進めることが大切です。

専門家のサポートを活用する

感情的になりやすい問題だからこそ、弁護士や裁判所の調停委員など、第三者のサポートを活用しましょう。

専門家は、法的な視点からアドバイスをし、冷静な解決へ導いてくれます。子どもへの影響を抑える方法も相談できます。弁護士に依頼すれば、相手と直接交渉せずに済むため、精神的な負担を大きく減らすことができます。

面会交流と養育費に関する比較表

項目 面会交流 養育費
法的性質 子どもの権利(健全な成長のため) 親の扶養義務(子どもの生活のため)
目的 子どもと離れて暮らす親との関係維持 子どもの生活費、教育費、医療費などの負担
支払い義務 なし あり(面会交流の有無にかかわらず)
拒否の正当性 面会交流の拒否を理由とした養育費の不払いは不当 養育費の不払いを理由とした面会交流の拒否は不当
関連性 法的には独立した問題 法的には独立した問題

この表からもわかるように、面会交流と養育費は、それぞれ違う目的を持つ独立した問題です。一方が止まったからといって、もう一方の義務がなくなるわけではありません。この点を理解し、冷静に対処することが解決への第一歩です。

相手と直接連絡せず進めたい方へ

相手と直接やり取りすることに不安を感じる場合は、弁護士を挟むことで精神的な負担を減らしながら手続を進められます。手元の書類やこれまでのやり取りの記録から、どのような方法が選べるか一緒に確認してみませんか。

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免責事項
こちらは一般的な情報提供であり、個別の事情に対する法的助言ではありません。取決めの内容や時期、相手の状況、手元の書類によって利用できる手続は異なります。具体的な対応は、個別の状況を確認したうえで判断してください。

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